


- 麻疹
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麻疹は「はしか」、風疹は「三日ばしか」ですよ。よく混同されます。麻疹ウイルスによる感染症です。はしかは症状が完成すれば診断はむずかしくありませんが、熱の初日には診断がつきません。はじめは熱、咳、鼻などのかぜ症状で発症し、重症感があって熱が下がらない、3日くらいするとほっぺの内側に白い小さなプツプツ(コプリック斑)が出て、ああはしかだと思っていると、翌日くらいに発疹が出るという経過をたどります。発疹が出ても2~3日は熱が続くのが特徴です。発疹は風疹のようにはきれいにひいてしまわず、茶系の汚い色になってしばらく残ります。これを色素沈着と言います。ここまでみれば診断は確実です。
抗生物質は無効ですが、はじめから重症感があるのでたいてい投与されています。でも熱の期間を短縮したりすることはできません。細菌による肺炎や中耳炎を合併したときは抗生物質が必要です。 はしかは今でも大病で、かかると入院することも多く、死亡例もあります。
わが国では1 年間の患者数は10~30万人あり、死亡率は1000人に一人、つまり年間100~300人程度はしかで死亡していると推定されています。(註:2009年現在ではもっと低下していることが期待されます。)
1歳になったら、どの予防接種よりも優先して、はしかの予防接種を受けましょう

- 風疹
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風疹ウイルスによってひきおこされる感染症です。全身に発疹が出て3日くらいでひいてしまうので、「三日ばしか」の異名があります。わりと典型的な発疹なのですが、同じような発疹はほかのウイルスの感染でも出ることがあるので、診察しただけで診断を確定するのはなかなか困難です。流行期以外で風疹と診断された場合には、診断まちがいのことがよくあります。確定診断にはウイルス抗体価の検査が必須です。予防接種は風疹と診断されたことがある人でも受けてよいことになっています。ひとつにはその診断が不確実だからです。
根本治療は何もありません。抗生物質は無効です。風疹自体はたいした病気でなく、かかっても自然に治りますが、妊婦さんが 妊娠初期にかかると胎児異常(先天性風疹症候群)を起こすことがあるので、風疹を撲滅してそれを防ぐ目的で予防接種が勧められています。

- 流行性耳下腺炎
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流行性耳下腺炎は診断がむずかしい病気のひとつです。「流行性耳下腺炎」は「おたふくかぜ」や「ムンプス」とも呼ばれます。耳下腺という耳の真下にある唾液腺(唾液をつくる組織)が腫れて、顔がおたふくのようになるのでおたふくかぜの呼び名があります(おたふくなんていまの若い人は知らないかもしれません)。見ればわかるから診断は簡単だろうとお思いでしょうが、そうはいきません。耳下腺の腫れを起こす病気はおたふくかぜ以外にもいくつもあって、その中でムンプス・ウイルスによる耳下腺炎がおたふくかぜなのです。医者なら耳下腺が腫れていることは容易にわかりますが、それは単に耳下腺炎であって、それがムンプス・ウイルスの感染によるものかどうかは診ただけでは判断できまないことが多いのです。ふつうは両側の耳下腺が腫れますが、4分の1は片方しか腫れないし、耳下腺が腫れずに顎の下の顎下腺(がっかせん)だけ腫れる場合もあるので、こういうのはとくに診断がやっかいです。確実に診断するには血液の抗体検査しかありません。しかも腫れてから2週間以上たたないと抗体は上がってきませんので、迅速診断はできません。耳下腺炎イコールおたふくかぜと診断している医者は、説明不足です。感染しているのに症状が出ない不顕性感染というのもありますが、こういうのは診てもまったくわかりません。
治療はウイルスの病気なのでありません。抗生物質は不必要です。痛みや熱に対して対症的に鎮痛解熱剤を処方するのみです。
合併症では5%程度の率で起こる髄膜炎がとくに要注意です。ウイルスが頭の中に入り込んで頭を痛がったり吐いたりして重症感があります。診断には髄液検査という特殊な検査が必要です。ウイルスによる髄膜炎は無菌性髄膜炎と総称され、一般に後遺症を残したり死亡することはまれです。髄膜炎以外では2万人に 1人程度難聴を合併することが知られていますし、有名な睾丸炎(こうがんえん)も思春期以降の男子の3割程度にみられます。ただしみなさんが心配される不妊はまれとされています。

- 伝染性紅斑
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ほっぺがりんごのように赤くなることから「りんご病」とも呼ばれます。ヒトパルボウイルスB19によるウイルス感染症です。はじめほっぺが赤くなり、そのあと腕や太股に網目状の赤い発疹が出て診断が確定します。この病気のおもしろいところは、発疹が出たときにはもう人にうつらないことです。ですから登園、登校はかまいません。発疹はかゆみがひどいことがあるので、その時にはかゆみ止めを処方しますが、抗生物質はいりません。発疹は日光や入浴などに刺激されて繰り返すことがあり、時には1か月以上続きますが、そういうものなので心配はいりません。
潜伏期は10~20日。発疹が出る7~10日前に感染力があるとされていますが、この時期には軽い感冒様症状がみられることはあっても、この病気に特徴的な症状はありませんので、診断も感染予防もできません。
妊娠前半期の妊婦がかかると胎児の異常や流産の原因になることが知られていますが、予防は上の理由から困難です。

- 咽頭結膜熱(プール熱)
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咽頭結膜熱とは読んで字のごとく、のどが赤い(咽頭炎)、目が赤い(結膜炎)、熱が出るという症状を示すアデノウイルスによる感染症です。夏に流行ることが多いので、ヘルパンギーナや手足口病とともに『夏かぜ』と呼ばれます。かぜと言ってもいわゆるかぜ症状はあまりありません。熱が3~5日と長びくことが多く、倦怠感や筋肉痛、頭痛など伴い、他の原因による咽頭炎より重症感があります。塩素消毒の不十分なプールを介してうつることがあるので“プール熱”の呼び名があります。学校伝染病第二種に分類されており、「主要症状が消退した後2日を経過するまで出席停止」という扱いになっています。
治療は対症療法にとどまります。抗生物質は効果がありません。
- アデノウイルス感染症
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アデノウイルスは通常呼吸器疾患を起こすウイルスですが、扁桃腺炎、胃腸炎、結膜炎、膀胱炎、発疹性疾患、脳炎・髄膜炎など、さまざまな病気をひき起こします。呼吸器疾患もかぜ症候群から肺炎、クループ、気管支炎と、幅広い病状を呈します。アデノウイルスもエンテロウイルスのように血清型が51以上あって、その型によって起こしやすい病気のタイプがあります。感染は飛沫などを介して人と人の直接接触で、便を介して口から、時にプールなどの水を介して伝播します。潜伏期は呼吸器感染で2-14日、胃腸炎では3-10日です。通常冬の終わりから初夏にかけて流行しますが、一年中かかえりえます。感染力ははじめの数日に強いが、ウイルスが数ヶ月にわたって持続的に排出されることも多いので、症状がないからといって感染力がないわけではありません。最近はインフルエンザのような迅速検査がありますので、診断が容易になりました。ただしウイルスは長期にわたって排泄されるので、ウイルスの存在は必ずしも病気であることを示すとは限らない場合があります。
- 学校伝染病
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学校伝染病第二種にはインフルエンザ、百日咳、麻疹、流行性耳下腺炎、風疹、水痘、咽頭結膜熱、結核があげられています。それぞれ出席停止期間が定められていますが、「病状により伝染のおそれがないと認められたときはこの限りではない」の一文もあり、主治医判断で早めに登校することも可と読めます。
ちなみに第一種にはエボラ出血熱、クリミア・コンゴ出血熱、ペスト、マールブルグ病、ラッサ熱、急性灰白髄炎(ポリオ)、コレラ、細菌性赤痢、ジフテリア、腸チフス、パラチフスなど、見たこともない病気が並んでいます。第三種は腸管出血性大腸菌感染症、流行性角結膜炎(アデノウイルス)、急性出血性結膜炎およびその他の伝染病とされています。
詳しくは横浜市衛生研究所のホームページをご覧下さい。
http://www.eiken.city.yokohama.jp/infection_inf/school1.htm

- 手足口病
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読んで字のごとく、手や足、口の中にプツプツや水疱が出る病気で、コクサッキーウイルスA16をはじめとするコクサッキーウイルスやエンテロウイルス 71など、エンテロウイルス群が原因のウイルス感染症です。発疹は手足口のほか、ひざや肘、おしりにも出ます。熱は3分の1で1~3日出る程度ですが、この病気でいちばん困るのは口が痛くて食べられなくなることです。このような場合には口内炎としての治療をすることがあります。ひどい場合には水分補給のために点滴したりしますが、抗生物質は効きませんし、手足につける薬も不要です。自然に治るのを待つだけです。早く医者に行ったから早く治るわけではありません。この病気では、診断をつける、病気の説明をする、注意点をあげる、が医者の主な役割です。なお、ウイルス性髄膜炎(無菌性髄膜炎)を合併することがまれにありますので、頭痛や嘔吐のひどいときは要注意です。
手足口病の原因ウイルスは一つではないので、2回以上かかることがあります。大人でもかかったことがなければかかります。
人から人にうつる病気で、流行しますが、具合が悪くなければ学校や幼稚園、保育園には行っていいことになっています。病状がよくなってもしばらくは感染力があるので、短期間休んでも流行を阻止することはできないこと、多くは軽い病気であることが理由です。

- ヘルパンギーナ
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手足口病と同じ、エンテロウイルス感染症の一種です。突然の熱とのどの痛みで発症します。のどを見ると真っ赤で、しばらくするとのどの奥に赤い小さな斑点ができて、だんだん大きくなり水疱になってきます。熱の出はじめに典型的な水疱になっていることは少ないので、初日には診断がつかないことがよくあり、細菌性の咽頭炎との区別が困難です。典型的でないときには、「確実にはわからないけど、まわりで流行っているからかなり可能性が高い」とお話します。熱は1~3日で下がりますが、のどの痛みがしばらく続きます。原因はコクサッキーウイルスA群が多いのですが、B群やエコーウイルスでも起こります。
手足口病とは口の中の疹が見た目にちがうし、手足口病の場合にはのどの奥だけでなく、ほっぺの裏側や舌、唇にも出るので区別しやすいのですが、中には手足口病かヘルパンギーナか迷うような例もあります。どちらも根は同じできょうだいみたいな病気ですし、いずれにしろ抗生物質はいらず経過観察するだけですから、はっきりしない場合にはどちらの診断をつけようと大差ないと思ってください。
この病気も手足口病と同様、全身状態が改善したら登校・登園は可です。
- エンテロウイルス
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エンテロウイルスの仲間にはコクサッキーウイルスA群、B群、エコーウイルス、その他のエンテロウイルスがあります。しかも、それぞれがさらにいくつもに細分化されています(専門的には血清型というのですが)。手足口病のところで書いたA16とか71とかの番号であらわされます。
エンテロウイルスによる感染症は手足口病やヘルパンギーナだけではありません。ただの発熱だけのものから、かぜ症状を伴うもの、風疹や突発性発疹のような発疹を出すもの、下痢症、髄膜炎や脳炎、ポリオのように麻痺をきたすもの、心筋炎、筋炎など多彩です。ある症状、ある病気を起こしやすいウイルスの種類や型というのもあるし、同じウイルスの感染でもちがう症状を呈します。患者の年齢、性別、免疫状態などによって症状の出方が変わると考えられています。ただし、上に述べた症状や病気がエンテロウイルスによって起こっているかどうか、どのタイプによるものかは診察しただけではわかりません。確定診断のためにはウイルスの検索が必要ですが、通常は行いません。