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ー感染・アレルギー編ー
静岡県立こども病院・感染免疫科医長の吉田隆實先生
テーマ:アレルギーについて、結核とBCG、予防接種
アレルギーについて
■アレルギーのこどもは増えているのですか?
増えています。
■アレルギーはどうして増えているのですか?
よくわかりません。日本人の遺伝的な要素がこれほど短期間に変化するとは 考えにくいので、環境因子の影響が大きいと考えられています。
■アレルギーの原因はなんですか?
アレルギー反応が起こるためには、1)
遺伝的な要素
と2)
原因
が必要です。1)は 血のつながった家族に気管支喘息、蕁麻疹、花粉症、薬剤アレルギーなどの人がいることです。すなわちこのような人が見つかる家族はアレルギー体質があると 考えられます。2)はアレルギーを起こすもの、たとえば食物・ダニ・家埃・花粉・ 薬物などです。アレルギー反応はこの1)と2)の2つの条件がそろわないと起こり ません。どちらか1つの条件が欠けても起こりません。
もともとアレルギー体質 のない人は、何を食べても食物アレルギーになりませんし、いくら花粉を浴びて も花粉症は発症しません。またアレルギー体質の人でも、たまたま原因になる物が反応を起こすタイミングで侵入しなければ、アレルギー反応は起こりません し、結局自分がアレルギー体質であることは知らないままです。
■アトピー性皮膚炎は食事制限をしなければいけないのですか?
アトピー性皮膚炎の治療法には1)皮膚を清潔に保ち、外界からの刺激をできるだけ減らすようにおこなうスキンケアーと、2)アレルギーの関与を疑い原因を検索し、食物が原因と判明した場合には食物制限をおこなう場合もあります。ま たダニやハウスダストが原因の場合には、環境整備が治療方法の一つとなります。
このように食物制限はアトピー性皮膚炎の唯一の治療法ではありません。1)の治療法を 試みて、なお反応がもう一つで、かつ食物が原因と確定された患者にのみ適応と なります。したがって、皮膚炎が軽症にもかかわらず厳格な食物制限を行うことは疑問です。
■アトピー性皮膚炎のこどもの食事は日本食がよいのですか?
そう簡単にはいえません。要はアレルギーの原因となる食物を摂取する時期、 量、本人の過敏性の程度などにより発症するかしないかが決まります。洋食にしろ和食にしろ、この点を注意すれば同じと思われます。
■喘息治療の基本はどう考えればいいでしょうか?
喘息は慢性の病気ですので、治療は長期にわたることが基本です。それでは、何を目標に治療を行へばよいのでしょうか。慢性の病気ですので、すぐには病気 はなくなりません。しかし病気の症状が出ないようにすること、すなわち病気のコントロ ールは可能です。目標はできるだけ発作が生じないようにすることです。これは 一回でも発作が生じると、その影響が残ることが報告されているからです。具体 的には、1)夜は眠れること、2)昼間は学校や幼稚園に通学できること、3)さらに体育くらいは参加できること、4)長期的に発達や発育に悪い影響がない、などの 条件を満たすように治療を行います。また現在の治療の基本は、発作がコントロールできない場合には、1種類の治療法にこだわらず、発作が消失するまで複数 の治療法を追加していくことです。その後2−3ヶ月経過した時点で、再度治療 法につき考慮します。 このように現在の喘息の基本は予防です。また喘息日記を記載させたり、ピーク フローメーターが可能な年齢のこどもには、毎日行わせて、自分で自分の病気(喘息)の状態を把握させます。すなわち喘息の自己管理が強調されています。
結核とBCG
■BCGはほんとうに効果があるのでしょうか?
インドでBCGには予防効果がないという研究結果が出たことがあります。この研究は、実施期間中より世界の公衆衛生専門家は非難していました。理由としては、その計画がずさんなこと、その判定が正確には行われていないことなどです。当時は、この結果が一人歩き することが心配されましたが、現実になっています。専門家の意見ですが、イン ドでこのようなサーベイを行う条件は整っていなかったとのことです。
BCGは結核性髄膜炎や粟粒結核の予防には効果があります。ただ肺結核に対 する効果は約50%といわれ 、完全ではありません。米国ではBCGの予防効果が不完全 であること、BCG接種後ではツ反による感染の有無の判定が困難になることより、特殊な状況を除いては医療従事者へのBCG接種は奨励されて いません。
■こどもの結核も増えているのですか?
いいえ。最近0−14歳の結核患者はさいわい減少しています。その減少傾向は鈍化していま すが。
■こどもの結核は大人のものとちがうのですか?
結核菌の進入は飛沫感染によることが知られてます。小児結核の特徴は、大部分が一次結核症(初期肺結核症)です。肺の初感染巣や肺門リンパ節巣等の初期変化群に存在する結核菌は、一般には4−8週間は閉じこめられて発病し ません。しかし感染防御が未熟な乳幼児ではこの結核菌の封じ込めができずに、 感染から発病へと進行することがあります。小児結核の特徴は、初期結核群の程度によらず簡単に結核性髄膜炎や粟粒結核に進行することです。結核性髄膜炎は 死亡したり、中枢神経後遺症を残します。
■結核集団発生時のツベルクリン反応について
一般にBCG接種後時間が経過していないと、当然ツベルクリン反応は強く出ます。とくに日本においては、小学1年生にツベルクリンで確認し、陰性者には BCGが接種されていますから、BCG接種後の強反応が混入した可能性があります。また最近では乳幼児期のBCG接種は確実性を増すために、強く接種する傾向があり、これも影響しているかもしれません。成人の場合には 、さらに複雑です。BCG接種後に長い時間が経過しているため、普通はツベルクリン反応は減弱しています。このような人にツベルクリンを行うと当然弱い反応、または陰性です。しかし2週間後に再度ツベルクリンをおこなうと、かなりの割合で 陽性、しかも強陽性の者もふくまれます。このような現象をブースター現象とい います。すなわち周囲に結核患者が存在してツベルクリンを行っても、本当に感 染・発病したのか、このブースター現象で強いツベルクリン反応を示しているのか区別は困難です。
予防注射
■ほかの注射までに生ワクチンは4週間、不活化ワクチンは1週間あけるようになっているのはどうしてですか?
生ワクチンはもともと生きているウイルスを注射するわけですから、接種後は体内でウイルスが増殖します。生ワクチンはこのように一旦増殖してから体に免疫 をつけます。しかし3ー4週間経過すれば、体内のウイルスは駆逐されます。したがってこの3ー4週間 はウイルスの影響がでる可能性があるため、新たな ウイルス接種は控えます。
これに対して、不活化ワクチンは、もともとウイルス が生きていませんので、接種の影響は2ー3日 間と考えられます。
以上より、生ワクチンは4週間、不活化ワクチンは1週間以上間隔をあけるようになってい ます。
■1週間ごとにいろいろな注射を打ってからだに負担がかからないのですか。 またいろいろなワクチンが次々に入ってきてからだが混乱しないのですか?
免疫の仕組みは非常に精密で、わずかな差を区別できますので大丈夫です。
■予防接種をうけたすぐあとに熱が出ました。これが感染症の場合、予防接種 の効果がなくなるのでしょうか?
ウイルスの生ワクチンを接種した場合に、たまたま他のウイルスにかかると効 果がなくなる可能性があります。しかしあくまで理屈による可能性であり、実際には効果がなくなることはまずありません。
■ワクチンの副作用の熱と感染症の熱を区別する方法はあるのですか?
いままでのワクチンの副作用報告より、ワクチンによる副反応の症状と、出現する時期はある程度規定されます。それ以外の時期に出現する反応はワクチンに無関係と考えられます。問題はワクチンの副反応が報告されている期間にたまたま出現した感染症との区別です。臨床症状、検査成績により判定するより方法 がありません。また今までの報告されている症状も参考にします。
吉田先生にお聞きになりたいことがありましたらメール
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