すっかりご無沙汰してしまいましたが、みなさまいかがお過ごしですか? 日々の出来事や、そのとき感じたことなどを気ままに綴ろう、と軽い気持ちで始めた「看護日誌」ですが、いろいろな方から「読んだよ!」「おもしろかった」などの声をかけていただき、それがうれしくて「よぉし、もっといいものを書くぞ!」と肩に力が入ってしまったようです。その結果、「これじゃダメだ」「もっと気のきいた表現ができないかしら」と考えすぎてしまい、更新できないまま月日が流れてしまいました。
これからは初心に戻って、飾らず素のままの「日常」を綴っていきたいと思います。みなさま、改めてよろしくお願いしますね!
というわけで、今回は少し前の診察室でのエピソードをご紹介します。
その日もKくんは、お母さんの後ろに隠れるようにして診察室に入ってきました。
「こんにちは、Kくん。今日はどうしたのかな?」
先生の問いかけにも、うつむいたままモジモジしています。見かねたお母さんが、「ほらK、ごあいさつは? ホントにもう、すみません先生。今日はあの、予防接種をお願いしたいんです」と代わりに答えました。
ナースがKくんのシャツの袖をまくり、「じゃあKくん、がんばろうね」と声をかけながらアルコール消毒をすると、Kくんはあるかなきかの仕草でコクリとうなずきました。そしていよいよ先生の手にした注射器がKくんの腕に。Kくんは身構え、固く目を閉じます。
「はいおしまい。よくがんばったね」
実際は目をつぶったころにはもう注射が終わっているくらい、ごく短時間のことなのですが、大の注射嫌いのKくんにしてみれば、何倍の時間にも感じられたことでしょう。これまでもシャツの袖をまくられただけで泣いたり、アルコールのひんやりした感触を察知しただけで逃げたがったりと、泣かない日はありませんでした。
でも、今日は泣かなかったのです。私たちナースはうれしくなり、「すごいねKくん!」「泣かないでできたね!」「がんばったねえ。本当にえらかったよ!」と口々に声をかけました。ちょっぴり照れくさそうに、でも誇らしげな表情のKくん。でも、それ以上に感激しているのがお母さんでした。
「よかったね、K。看護婦さんにいっぱいほめてもらって」
それからポツリとつぶやきました。
「そういえば私、このごろはKを叱ってばかりでした」
我が子の「いいところ探し」をしてみませんか?
「這えば立て 立てば歩めの 親心」という言葉があります。親は子どもへの期待が強いあまり、ついつい高望みをしてしまうんですよね。小さいころは、できることがひとつ増える度に大喜びして「すごいすごい!」と手放しでほめていたのに、いつのころからか「このぐらいはできて当たり前」「そろそろ○○をできるようになってほしい」と、子どもを見る目が厳しくなってしまう。
私自身にもそんな時期がありました。小さいときは「この間までできなかったことができるようになった」と、子どもの過去と比べて素直に喜び、自然にほめることができていたのに、いつの間にか「今度はこれを!」と、未来にばかり目を向けるようになっていました。そう、子どもの長所に目が向かず、短所ばかり気になってしまったのです。
きっと、無意識にほかの子と比べていたのだと思います。みんなと同じようにできないことがあると、必要以上に心配してしまったのですね。ほかの子よりも得意な面や優れた面だってあったはずなのに、それを認めてあげられなかったんです。
だから今、小さなお子さんをおもちのお母さん方に、私は心をこめて言いたいのです。ほかの子と違ったっていいじゃないですか。人と同じようにできないこともあれば、人よりできることもある。それが個性なのですから。
ちょっとだけ視点を変えて、子どもの「いいところ探し」をしてみませんか? きっとたくさん見つかるはずです。そしてそれを認めてあげれば、子どもはうれしく思い、グングン成長していくと思います。親にとっても、子どものいいところに気づき、素直に喜ぶことができれば、叱るよりもずっと幸せな気持ちになれるのではないでしょうか。
改めてお子さんを見てください。ほら、成長している面がたくさんあるでしょう!
(2006.8.20)
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