小児科看護婦暦ウン十年のおばさん看護婦・のぶちゃんがお届けする、ほのぼの癒し系(?)コーナーです。
子どもの健康のこと、病気のこと、子育てのことなど、日頃思ったこと感じたことを気ままに書かせていただきます。
●今は看護師というのが正式名称ですが、何だか堅いイメージがあるので、なじみのある従来の「看護婦」という呼称を使わせていただきます。
■のぶちゃんです、よろしく 
■お母さんだって甘えてもいいじゃない!
■小児科受診の秘訣は、親の『ちょっとひと呼吸』です
■母と子のコミュニケーションで一番大切なことは?
■子育てのあんなこと、こんなこと、気軽におしゃべりしませんか?
■小児科のスタッフが風邪をひかないワケ
■いったい誰に相談したらいいのでしょう。
泣かずに注射を受けられたKくんに、拍手!
小児科のスタッフが風邪をひかないワケ
 子どもを連れて受診にみえたお母さんから、時折こんなふうに聞かれることがあります。
「先生や看護婦さんは、どうして子どもから風邪をうつされないのですか?」
 フフフ。そうなんです。実は私たち小児科のスタッフは、風邪をひくことも、子どもからうつされることもないのです。…というのは、半分は本当で、半分は誤りです。
 誤りというのは、私たちスタッフも人の子ですから、当然風邪をひいたり、うつされたりすることもあるという点です。事実、とのうち小児科開院以来10年の間に、新しく入ったスタッフのほとんどが、病気をもらって寝込んだ経験があります。
 では本当の部分は何かというと、私も院長もこの10年間、風邪らしい風邪をひいたことがないという点です。それはなぜでしょうか、というのが今回の本題です。
 人間の体には、細菌やウイルスなどの病原体をやっつけて病気にかかりにくくする抵抗力=免疫が備わっています。これは病気にかかるたびに強くなり(ファミコンのロール・プレイング・ゲーム風に言えば「経験値が上がる」という表現ですね)、次からは同じ病気にかかりにくい体質になります。また、体内に入った病原体が病気を引き起こす前にやっつける働きもあり、やはり多くの種類の病原体を退治すればするほど、この力が強くなります。この働きを利用したのが各種の予防接種です。予防接種は簡単に言うと、ごく微量の病原体を体内に取り込ませ、その病気に対する免疫をつくることを目的としています。
 ここまでの話でピンときた方もいるのではないでしょうか。そう、私たち小児科のスタッフは、仕事柄毎日多くの病気のお友達に接しています。おかげで、少々の病原体などには負けない体になっているのです。前述の新人スタッフたちもみんな、気がつけば風邪をひかない体質になっています。
 でもこれは、私たちだけに与えられた特権ではありません。みなさんも、みなさんのお子さんたちも、同じようにして病気に負けない体をつくっているのです。もちろん風邪はひかないにこしたことはありませんし、子どもの辛そうな顔を見るのは親としても辛いものです。でも、だからといって子どもが風邪をひかないようにと、必要以上に警戒して外出を控えたりする必要はないのではないかと、私は思います。どのみち、幼稚園や保育園に通うようになれば、病気のうつし合いになりますから、防ごうと思ってもなかなか防げるものではありません。ですから、たとえ子どもが風邪をひいたとしても、ご自分を責める必要などまったくありません。また、「誰からうつされたんだろう」と犯人探しのようなことをするよりも、「もらってよかった。これでまた丈夫な体になる」と大らかに構えた方が、お母さんがたのストレスも軽くて済むのではないでしょうか。子どもはたくさんの子と遊び、病気をうつし合いながら、少しずつ強い体がつくられていきます。それに現在は治療も進歩しているので、たとえ病気にかかっても軽くてすむことが多いですからね。
 みなさん、今度お子さんが風邪をひいたら、体の中にいる正義の味方・病気を退治する免疫力がどんどん大きくなっている様子を想像してみてくださいね。
 あ、そうそう、冒頭のお母さんの質問に対する答えは、こんな感じでしょうか。
 「私たちは元々、たくさんの病原体にふれているからなんですよ」
 あのときキョトンとされていたお母さん、これを読んで納得していただけましたか?
(2005/06/11)