小児科看護婦暦ウン十年のおばさん看護婦・のぶちゃんがお届けする、ほのぼの癒し系(?)コーナーです。
子どもの健康のこと、病気のこと、子育てのことなど、日頃思ったこと感じたことを気ままに書かせていただきます。
●今は看護師というのが正式名称ですが、何だか堅いイメージがあるので、なじみのある従来の「看護婦」という呼称を使わせていただきます。
■のぶちゃんです、よろしく 
■お母さんだって甘えてもいいじゃない!
■小児科受診の秘訣は、親の『ちょっとひと呼吸』です
■母と子のコミュニケーションで一番大切なことは?
■子育てのあんなこと、こんなこと、気軽におしゃべりしませんか?
■小児科のスタッフが風邪をひかないワケ
■いったい誰に相談したらいいのでしょう。
泣かずに注射を受けられたKくんに、拍手!
●お母さんだって甘えてもいいじゃない!
 とのうち小児科に来院されたみなさんはご存じだと思いますが、ここには診察を待つ間、お子さんたちが少しでも退屈せずに、そして少しでも不安にならずに過ごせるよう、絵本やおもちゃなどを置いたプレイルームがあります。
 その日は比較的患者さんが少なかったことに加え、緊急の治療を要する患者さんもいなかったため、院内はどことなくのんびりした空気に包まれていました。私はたまってしまった事務処理を片付けるため、デスクで書類と格闘していました。カーテン1枚隔てたプレイルームからは、子どもに絵本でも読んであげているのでしょうか、お母さんの穏やかな声が聞こえてきます。ときどき何やら口を挟んでいる男の子二人は、たぶん兄弟でしょう。
 しばらくすると、パタンと本を閉じる音がしました。
「ごめんね。お母さん、腰が痛くなっちゃったから、少し横になっててもいいかな」
 さあどうする? チビさんたち。風邪をひいているらしい弟くんはきっといつにもましてお母さんに甘えたくなっているだろうし、元気いっぱいのお兄ちゃんは遊びたくて仕方がないことでしょう。素直にお母さんの言うことを聞いてくれるとは、残念ながら思えません。ところが…。そんな私の予想に反して、お兄ちゃんはあっさりと言ったのです。
「うん、いいよ。『よしよし』しようか?」
「ホント? じゃあお願いしようかな」
 『よしよし』というのがどんな行為なのかはわかりませんが、きっとマッサージのようなものだと思います。それにしても、なんて素敵な親子関係なのでしょう。私は胸の奥がジーンと温かくなるのを感じました。
 思えば「お母さんだって疲れてるんだからね!」と八つ当たり気味に言うことはあっても、「お母さん、ちょっと疲れちゃったな」と子どもに甘えたことはなかったような気がします。それは心のどこかに「お母さんはいつも元気でいなければ。疲れた顔を見せたら、子どもが元気じゃなくなる」という思いがあったからではないでしょうか。
 でも、お母さんだって子どもに甘えてもいいんですね。疲れたときは正直に「疲れた」って言っていいんですよね。お母さんが素直に子どもに甘えれば、子どもはちゃんとそれを受け止め、思いやりの気持ちを示してくれる。私はこの兄弟とお母さんから、とても大切な「親子のあり方」を教わりました。
 ああ、今日は何だかいい日だなあ。しみじみと余韻に浸っていた私を、目の前にうず高く積まれた書類の山がたちまち現実に引き戻してくれました。