●米国でフェニルプロパノールアミン(PPA)を含む
薬の販売中止勧告

平成12年11月7日記

 市販のかぜぐすりに含まれるPPAの服用により、脳出血の危険性が高まるとして、米国食品医薬局(FDA=Food and Drug Adminisitration)が販売中止を勧告したと、テレビで報じられていました。

 この薬品は交感神経刺激薬で、鼻粘膜充血抑制作用があり、多くのかぜぐすりに鼻づまり緩和剤として含まれているほか、米国ではやせ薬にも使用されているそうです。脳出血は女性に多いが、男性でも起こりうるとされています。わが国で販売されている市販かぜぐすりの多くにも含まれていますが、厚生省は日本ではすぐに中止にする必要はないと判断している模様。


住友製薬株式会社からの情報
 医者が処方箋で出す薬である『ダン・リッチ』を製造販売している会社から、11月8日付で医療機関向けにコメントが出されました。以下に抜粋を掲載します。  平成12年11月10日記

 弊社医療用医薬品『ダン・リッチ』は3成分配合の上気道炎治療剤ですが、鼻粘膜充血除去剤として塩酸フェニールプロパノールアミンを使用しております。

 今般の報道は米国エール大学のPPAに関する大規模疫学調査結果に基づくものです。当報告は、くも膜下出血、脳出血で入院した患者の追跡調査結果です。脳出血を経験した18歳〜49歳の702例の患者を、対照群(年令、性別、人種、及び住居区域等を基礎として、脳出血患者にマッチした個人)の1376例と比較しています。脳出血発作前3日間にPPA含有製品を服用した患者の脳出血のリスクは、対照群と比較するとオッズ比1.49倍(P=0.084)でした。なお、感冒等の目的で服用した症例におけるリスクはオッズ比1.23倍(P=0.245)で、食欲抑制の目的で服用した症例におけるリスクはオッズ比15.92倍(P=0.013)と高くなっていました。
 この報告を受けて、米国FDA(食品医薬品局)は、脳出血の発言頻度は非常に低いものの、副作用内容を重視し、代替成分があることも考慮してPPAはOTC薬*成分として適当ではないと判断し、OTCのPPA含有製品の販売中止を要請した次第です。

 『ダン・リッチ』は1966年の発売以来、これまで、脳出血の副作用情報は1例も入手しておりません。『ダン・リッチ』のPPA容量は1日100 mgです。一方、米国ではPPA含有製剤が医療用、OTCとして感冒薬・鼻炎用薬等の上気道症状に上限1日150mgで使用されております。また、食欲抑制目的にはOTCで連日相当な量が使用されておりましたが、1996年以降は1日75mgを限度とするように規制されておりました。

 現在、弊社では海外事情の事実関係の掌握とその内容の詳細を分析中ですが、現時点ではこれまでの日本国内の状況からは、米国のように直ちに販売を中止するような事態ではないと判断しております。

*OTC薬:医師の処方箋なしで薬局で買える薬  
OTC=over-the-counterの略