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●インフルエンザについての最新の話題
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日本小児科学会神奈川県地方会(9月29日)で、日本鋼管病院の菅谷憲夫先生が特別講演された内容をボクなりにまとめてみました。
学童の集団接種は有効だったか
日本で学童の集団接種が行われなくなった理由は、1)効果がないと断定された、2)インフルエンザはただのカゼで、軽い病気だと医師も考えていた、3)副作用が心配だった、の3点が挙げられる。しかし、今ではそのすべてが否定されている。
『超過死亡』という考え方がある。国民の全死亡数を1年間通して観察すると、ある期間だけ飛び抜けて高いピークが見られる。これが超過死亡で、通常の病気以外の流行性の病気による死亡が影響したものと考えられる。米国では以前からこの調査が行われており、毎年決まった時期、すなわちインフルエンザの流行期に一致してピークが見られるので、これが主にインフルエンザにかかわる死亡であると考えられてきた。つい最近まで、インフルエンザを正確に診断することはむずかしかったので、これをもってインフルエンザの死亡を推定していた。
今回、日本ではじめて超過死亡の調査を行ったところ、集団接種をしていたころには見られなかった超過死亡のピークが、接種をやめてから再び見られるようになった。この死亡の8割から9割は高齢者だから、集団接種が高齢者のインフルエンザによる死亡をおさえていたと、この結果は示していると考えられる。さらに、集団接種をやめた1994年から乳幼児にインフルエンザ脳炎が多発したことを考えると、乳幼児に対しても予防になっていたのではないか。
ワクチンの有効性
65歳以下での予防効果は70-90%である。高齢者での予防効果は30-40%だが、死亡防止効果は80%と高い。すなわち、かかっても重症化することを防ぎ、死なずにすむということである。こどもでは1〜3歳の入院が多いので、とくにこの年令のこどもは接種することが望ましいが、残念ながら効果は30-40%と低い。これは低年齢では今までにインフルエンザにかかった子が少ないので、すでに持っている免疫能を高めるという効果(ブースター効果)が期待できにくいからである。今アメリカでは鼻に噴霧するタイプの生ワクチンが開発中で、とくに乳幼児に高い効果が期待される。そのうち日本にも導入されるだろう。
治療について
今のところ日本で小児に使える抗インフルエンザ薬は、アマンタジンだけである。発症早期でないと効かない、耐性ができやすい、小児への使用は正式には認可されていないなどの難点があった。ただし、効果が迅速である、新型ウイルスが出ても効果が期待できるなどの利点があり、量と投与期間を守れば副作用の心配はなく、小児にも安全に使える。
今シーズン中には、昨年成人向けに発売されたリレンザ(吸入薬)とタミフル(飲み薬)という2つの薬が、小児にも使えるようになる見込みである。ノイラミニダーゼ阻害剤という薬で、ウイルスが細胞から遊離するのを妨げて、細胞周囲で死滅させる作用がある。これが発売されれば、こちらが治療の主流になるだろう。
インフルエンザに解熱剤を使ってはいけないという誤解が、医師の間にもある。アセトアミノフェンとイブプロフェンは安全であるとされているので、患者の状態に応じて使ってよい。
インフルエンザウイルス検査薬について
昨シーズンまではA型、B型は別々の検査が必要だったが、今シーズンは一つの検査で両方とも検出できるキットが発売になる。
ボクの質問に対する菅谷先生の解答(会場で先生におうかがいしました)
Q.検査で確認しないと抗インフルエンザ薬を投与してはいけないのか
医師が臨床的にインフルエンザと診断したら投与してよい。アメリカでは“インフルエンザ様疾患”の診断で投与している。検査は薬の投与基準というわけではない。
Q.検査はどの程度行えばよいのか
せっかく保健適応されているのだから、インフルエンザの全貌を明らかにし、対策に結びつけるために、積極的に検査してほしい。こんなに高度な検査室レベルの検査が、外来で手軽にできる国はほかにはない。与えられたチャンスを有意義に活用しよう。
Q.抗生物質併用の是非について
小児はインフルエンザにかかっても、細菌感染を合併することは少ないので、抗インフルエンザ薬と抗生物質を必ず併用するという必要はない。ただし、高齢者は細菌感染の合併が高いので、抗生物質を併用した方が安全であると考える。米国CDCでは抗生物質を使わないように指示しているが、現場の医者はアメリカでも実際には使っている。 |
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