解熱剤(ねつさまし)と
鎮痛剤(いたみどめ)

 解熱剤(げねつざい)とは、熱を一時的に下げるおくすりのことです。ねつさましというとみなさんはすぐにおしりから入れる坐薬(ざやく)を思い浮かべるようですが、飲み薬もあります。飲み薬もシロップ、こな薬、錠剤、カプセルなど、いろいろです。これで病気をなおすわけではなく、一時的に熱を下げるだけですから、飲んで下がっても、何時間かするとまた熱は上がってきます。

 熱はからだを守るための自然な反応で、これによって免疫力を高めるので、解熱剤は使わない方がよいする立場の医者もいます。しかし、熱が高いとご両親の不安は大きく、また食欲がなくなったり体力を消耗したりなど、本人にとってもつらいものですから、解熱剤は上手に使えば有益なくすりです。

 何℃以上で使ったらいいかは医師によってまちまちですが、ふつう38〜39℃以上で使うようにと言われることが多いですね。絶対使うなと言う医者とすぐに使えと言う医者の両極端があります。ボクは熱の高さではなく、熱があることによって、痛い、食欲がない、ぐったりしてしまうなどでからだがたいへんな時に使うようにお話ししています。40℃あっても元気にとびまわっていれば、使う必要はありません。

 よく熱が高いと脳に障害を起こすのではないかと心配される方がいらっしゃいます。熱の原因が髄膜炎や脳炎のように頭の中の病気であるなどの特殊な場合でなければ、たとえ40℃の熱が続いても、そのこと自体で脳がおかされる心配はありません。また、熱の高さと病気の重さも直接は関係ありません。

 多くのねつさましは『鎮痛解熱剤』といって、いたみどめの作用もあわせもっています。ですから、熱がなくても痛みがあった場合には、同じくすりをねつさましとしてでなく、痛みどめとして使うことができます。

 急な発熱に備えて、手もとにねつさましを常備しましょう。そうすれば、夜になって急に熱が出たからといって、夜間急病センターに駆け込まなくてもすみますよ。

----注 意----

 熱は変動します。とくに夜に出て、朝は下がっていることが多いようです。朝下がったからと学校に出すと、午後になってまた熱が出てきて呼び出されるという経験はありませんか。いちど熱が出たらまる一日熱がないことを確認してから、下がったと判断してください。熱があったら翌日はお休みした方が安全です。調子の悪いときは学校くらい休んだっていいじゃありませんか。

 病気の勢いの強いときは、ねつさましがなかなか効きません。ねつさましを使ったのに熱が下がらない、あるいは下がってもすぐに上がってしまうという訴えが多いのですが、そういうものだと思ってください。効かないときはしょうがないのです。熱を下げることだけが治療ではありません。全身状態をよく観察して、心配な症状がなければ、熱が出ていても様子をみていてかまいません。

 親が熱が下がらないことを心配するので、医者もつい熱を下げることを第一目標にしてしまうことがあるので要注意です。よく効く解熱剤を定時の薬に混ぜると、薬を飲んだあとは熱が一時的に下がります。小児では解熱剤は頓用が原則です。こわいのは知らずにステロイド剤を飲まされているときです。ステロイド剤は抗炎症作用が強いのでたいがいの熱は下がります。リンデロンシロップやセレスタミンシロップがこの仲間です。不用意なステロイド剤投与は控えたいものです。

----追 記----

 小児でいちばん安全とされている解熱剤はアセトアミノフェンです。アスピリン製剤はインフルエンザや水痘(みずぼうそう)の時に服用すると、ライ症候群(脳と肝臓がおかされ劇症肝炎のようになる病気)を併発するおそれがあるので、使ってはいけないことになっています。

 今期のシーズン中に、一部の解熱剤を使うと脳炎・脳症の合併率が高いとの報道がありました。まだ結論は出されていませんが、アセトアミノフェンでさえ起こしていますし、使っていなくても起こりえます。正式な発表を待ちましょう。

追記 この問題については、平成12年11月に厚生省からインフルエンザ脳炎・脳症の患者にジクロフェナクナトリウム製剤を使用しないよう勧告が出されました。詳しくはほっと・にゅーすの項を参照してください。