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「マイコプラズマ肺炎」というのは、「肺炎マイコプラズマ」mycoplasma pneumoniaeという菌による肺炎のことです。ところが、マイコプラズマにかかったらぜんぶが肺炎になるかというと、そうではありません。軽いかぜ症状や気管支炎くらいでおわってしまうこともあります。だから、マイコプラズマ感染症=マイコプラズマ肺炎ではありません。わかりにくいですね。医者でも誤解してる人があります。この肺炎は多くは軽症で、入院を要することは少ない病気です。
マイコプラズマ肺炎は小さなこどもには少なく、5歳以上学齢期のこどもが主なターゲットになります。5歳から9歳、9歳から15歳のこどもの肺炎の、それぞれ33%、70%がマイコプラズマによるものであるとのデータがあります。
マイコプラズマに特有な症状というのはなく、ほかの気道感染症と同じで咳や熱です。咳が長びく傾向にありますが、症状からこの病気を診断することはできません。むしろ、咳や熱がひどいのに、聴診器を当てても異常がないことの方が多いのです。また、レントゲン写真もマイコプラズマに特徴的な所見というのはありませんから、写真を見ただけでマイコプラズマが原因であると断定することもできません。診断には血液検査で抗体価の測定が必要ですが、初期には抗体が上昇しませんので、早い時期に診断をつけるのはむずかしいのです。
小児科医は咳が長びくときにはマイコプラズマ感染を考えて、それに適した抗生物質を処方します。この病気は一般に使われることの多いセフエム系やペニシリン系の抗生物質は効かず、マクロライド系やテトラサイクリン系の抗生物質が効くという特徴があります。本来は軽い病気なのに、効かない薬を漫然と出されて重症化することが時々あります。
4年から7年ごとに流行があり、オリンピックの年に流行るとも言われています。「今年はオリンピックイヤーだからマイコプラズマだ」と大胆に断定する医者もいて、困りものです。「マイコプラズマに効くクスリが効いたからマイコプラズマだ」と診断する医者もあります。マイコプラズマに効くといっても、マイコプラズマにしか効かないわけではありませんので、これも正確な診断ではありません。まわりで流行っているからというのもあてになりません。写真で肺炎の影があり、抗体が十分上がってはじめて、マイコプラズマ肺炎と診断されるのです。医者がこの言葉を口にしたから診断が確定したというわけではないのです。何でもかんでもマイコプラズマのせいにしてしまう人もいるので、流行が実態以上に大きくなる傾向にあるとボクは思っています。
マイコプラズマ感染が疑われたら、必ず検査をしなければならないと言っているのではありません。医者はその場合には、すぐにマイコプラズマだと決めつけるのではなく、「マイコプラズマ感染の可能性もあるので」と説明して薬を出すのが妥当だと思います。小児科ではこの系統の薬はよく使うので、マイコプラズマ感染と診断がつく前に治ってしまうことが多いでしょう。 |