■自家中毒

この病気、ボクはよくわかりません。「かぜ」と同じくらいあいまいな病名だと思っています。

 自家中毒は「周期性嘔吐症」ともいわれ、嘔吐発作を数年にわたって何度も繰り返す状態をいいます。2歳から9歳のこどもで、急にぐったりして何度も吐いて顔色が悪くなり、おしっこを検査してケトン体という物質が出ていると、自家中毒と診断されます。ストレスからとか精神的なものと言われています。

 自家中毒はかなり古い病名で、最近はあまり使われなくなっていると思います。というのは、上のような症状をあらわす病気はいくつもあって、検査がいろいろできなかった時代にその総称として名づけられたものなのです。医学の進歩に伴って、その中からいくつかの病名が独立していったという経緯があります。

 おしっこのケトン体は脱水傾向にあると出るので、これが出てれば自家中毒というものではありません。医者の印象や考え方でこの病名がつけられています。ひどく吐いているとすぐに自家中毒と診断する人もいます。

 ボクはあまり自家中毒と診断しません。吐く原因でいちばん多いのはロタ・ウイルスや小形球形ウイルス(SRSV)などのウイルスによる感染性胃腸炎と考えられます。吐いたらまず胃腸炎と診断しています。しょっちゅう吐く子の場合は自家中毒を考えるかもしれませんが、実際にはほとんど経験がありません。だいたい中毒なんてつくと食中毒とまちがえてしまいますよね。

 医者はよく「ストレス」「精神的」という言葉を口にしますが、これくらいあいまいなものもありませんね。診断根拠がかなりいい加減です。科学的に測定できない部分だからです。時には「母親の育て方に問題がある」とか「しつけが悪い」などの親を悪者あつかいする表現にもつながったりします。精神的なものとは、からだの病気ではないことを証明した上で、精神的な原因をつきとめてはじめて言えるものです。言うのは簡単ですが、的確な診断を下すのはそれほど容易ではありません。おたがい、使いすぎに注意しましょう。