基礎医学講座 これだけは知っておきたい!
目 次
こどもをとりまく状況
病気は経過をみないとわからない
「診断」の限界
医者の言う「のどが赤い」には御用心
鑑別診断
ウイルス感染と細菌感染
しっしん(湿疹)とほっしん(発疹)
血液検査でなにがわかるのか
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■こどもをとりまく医療状況ーこどもはめったに死なない
こどもの数が年々減っている「少子化」のことは、ニュースでも毎度取り上げられるのでよくご存知ですよね。一方ではインフルエンザで何人、O157で何人死んだなんて死亡例だけ報道されるので、いかにもこどもの病気はこわいという印象を与えています。でもいまの時代、こどもが病気で死ぬことはめったになくなりました。これを小児科医の方では「もう一つのショウシカ」、「少死化」と呼んでいます。ボクは開業して5年になりますが、その間、自分が診た患者さんが亡くなったという経験は一度もありません。医学の進歩はその大きな要因の一つですが、日本が豊かになって国民の栄養状態がよくなったこと、衛生環境がよくなったことなども、病気が重症化しなくなった理由と考えられています。

 昔は下痢や脱水くらいでどんどん死んでいました。疫痢(えきり)というやつですね。いまはよっぽどのことがないかぎり、脱水なんぞせいぜい入院して点滴治療までで治ります。みなさんがこわい病気の代名詞として口にする「肺炎」なんて、どうってことない場合が多いのです。

 ボクは開業するまで小児専門病院に勤めていました。主に難病のこどもたちのための病院ですから、そこでは常にこどもの死と背中合わせの医療が行われていました。でも開業してみると、世の中にはこども病院で診ていた病気はまれなんだということがわかります。

 お子さんが病気になると、最悪のことまで考えて心配になってしまうのが親心です。家庭向けの医学の本なんか読むとこわい病気がいっぱい出てて、これじゃないかあれじゃないかとますます不安になります。でもいまは死に至るこどもの病はめったにないと認識していれば、ちょっと安心じゃありませんか。